2009/10/27

チャート(グラフ)の見え方と印象

tumblrですこしおもしろい見せ方をしているチャートが流れていたからいじってみた。

流れてきた経路は 独り52-いじめられるサラリーマン の「図1 男女別平均年収の推移」が 日本人は世界で4番目に貧しい国 年収200万円以下が1000万人もいる! | 無題ブログ の643に貼られて、それを the Emitter がtumblrにポストしたのが Windsock - Online trend following - theemitter: plasticdreams: 643 名前:.. 経由でdashboardに表示されていた、という感じ(たぶん)。

おもしろいと思ったのは男女の平均年収に大きな差があるけど、男性の平均年収額を左縦軸、女性の平均年収額を右縦軸にとって、両方の縦軸の目盛り間隔を合わせていたことと1995年時のプロット位置を一致させていたことの2点。
前者は、はじめは年収400万円台と200万円台では10万円前後の増減による効用は違うだろうと思ったけど、収入が200万円でも400万円でも10万円前後の金額の捉え方は同じようなものに思えたこと(平均を個々のケースにあてはめて考えるのはおかしいけど)。
後者についてはわざわざ元データの数値を合わせないで増減額か増減率を示したほうがいいんじゃないかと思ったから。

チャートを作るためにデータを探してみる。
民間給与実態統計調査結果|長期時系列データ|国税庁M03.xls の「3-1」シートの「1年勤続者」-「給料・手当(1)」が同じ数値っぽい(賞与抜きの額面の金額)。

いくつか作ってみたチャートを貼ってみる。
共通なことは、横軸は1995年から2007年まで、縦軸は金額または増減率、金額の場合の単位は千円。

そのまんまな平均年収の折れ線のチャートA。
男女ともに横ばい(差は縮まらない)。


チャートAの縦軸の下限を200万円に変更したチャートB。
男女間の差額とそれが変わらないことを強調する場合はこれがいいかも。


男性の平均年収を左軸、女性の平均年数を右軸に割り当てたチャートC。
目盛り間隔はExcel2007におまかせ。左軸の5万円が右軸の4万円に対応している。微妙な差を気付かれにくくするにはこれみたいのがいいかも。


チャートCの左右の縦軸のスケールを一致させたチャートD。
流れてきた元のチャートはこんな感じ。「1995年から2000年までは男女の平均年収が約10万円増加したけど、その後、男性の平均年収は下がって1995年と同水準に戻ったね。それに対して女性の平均年収は2000年から横ばいだね。(※左右の縦軸に注意)」。


そもそも増減額を示せばいいじゃない?ということで1995年を基準とした増減額のチャートE。
増減額は分かるけど実際の年収額が分からない。「女性の平均年収は男性と比較すると堅調です」みたいなことを伝えたい場合はいいかも。
タイトルが適切じゃないけど直すのが面倒だからこのままで。


増減額じゃなくて、1995年を1.0とした場合の増減率のチャートF。
増減率なので分母の影響が出てしまう。チャートEよりも「女性の平均年収は男性と比較すると堅調です」を強く伝えられるはずなんだけど、男性の2001年からの下落具合がチャートEよりも弱くなる点に注意。
これもタイトルが適切じゃないけど直すのが面倒だからこのままで。


チャートE/Fに実際の平均年収額をラベルで付けたのがチャートH/I。
チャートGが抜けているのはただのミス、飛ばしてしまったみたい。
これもタイトルが適切じゃないけど直すのが面倒だからこのままで。あと凡例は不要だった。



独り52-いじめられるサラリーマン日本人は世界で4番目に貧しい国 年収200万円以下が1000万人もいる! | 無題ブログ が何を伝えようとしているのか知らないし、チャートがおかしいとか言うつもりは全くない(読んでいないし読む気もない)。
単に見せ方を変えると印象が変わりそうなデータだと思ったからやってみた。

自分なら特に強い意図がなければI/H、A/Bあたりを使うと思う。

捏造棒グラフ - Google 検索 とか Amazon.co.jp: マッキンゼー流図解の技術: ジーン ゼラズニー, 数江 良一, 管野 誠二, 大崎 朋子: 本 とか思い出した。あと1冊コンサルタント系の人の本も記憶にあるけど名前が思い出せない。

一応データはbitbucketに入れておいた。
ksksts / junk / source — bitbucket.org

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